スタティックルーティング
スタティックルーティング
1. 機能概要
本製品では、IPネットワークでの経路制御としてスタティックルーティング(静的ルート情報)を使用することができます。
管理者がコマンド入力によって明示的にルート情報を登録することができます。
IPv4ネットワークの静的ルートとIPv6ネットワークの静的ルートの両方の設定が可能です。
静的ルート情報には、以下の2種類があります。
タイプ | 説明 |
---|---|
VLANインターフェースルート情報 |
ip/ipv6 address コマンドによるIPアドレス設定で自動登録されるルート情報 |
スタティックルート情報 |
ip/ipv6 route コマンドによるルート設定で登録されるルート情報 |
経路表の表示には、 show ip/ipv6 route コマンドを使用します。
2. 用語の定義
特になし
3. 機能詳細
3.1. VLANインターフェースルート情報
ip/ipv6 address コマンドによるIPアドレス設定で自動登録されるルート情報です。
本製品に直接接続されているネットワークのルート情報となり、インターフェースに関連付けられています。
VLAN1インターフェースにIPアドレスとして192.168.100.1/24を設定し、経路表を表示します。
Yamaha(config)# interface vlan1 Yamaha(config-if)# ip address 192.168.100.1/24 Yamaha(config-if)# exit Yamaha(config)# exit Yamaha#show ip route Codes: C - connected, S - static * - candidate default C 192.168.100.0/24 is directly connected, vlan1 Gateway of last resort is not set
3.2. スタティックルート情報
ip/ipv6 route コマンドによるルート設定で登録されるルート情報です。
特定のネットワーク宛のルートを静的に設定したり、デフォルトゲートウェイを設定することができます。
デフォルトゲートウェイを設定する場合は、宛先ネットワークとして 0.0.0.0/0 を指定します。
ip route コマンドによるIPv4スタティック経路は最大128個まで設定することができます。
ipv6 route コマンドによるIPv6スタティック経路は最大32個まで設定することができます。
172.16.0.0/16宛の経路のゲートウェイを192.168.100.254に設定し、経路表を表示します。
Yamaha(config)# ip route 172.16.0.0/24 192.168.100.254 Yamaha(config)# exit Yamaha# show ip route Codes: C - connected, S - static * - candidate default S 172.16.0.0/24 [1/0] via 192.168.100.254, vlan1 C 192.168.100.0/24 is directly connected, vlan1 Gateway of last resort is not set
デフォルトゲートウェイとして192.168.100.200を設定し、経路表を表示します。
Yamaha(config)# ip route 0.0.0.0/0 192.168.100.200 Yamaha(config)# exit Yamaha# show ip route Codes: C - connected, S - static * - candidate default Gateway of last resort is 192.168.100.200 to network 0.0.0.0 S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 192.168.100.200, vlan1 S 172.16.0.0/24 [1/0] via 192.168.100.254, vlan1 C 192.168.100.0/24 is directly connected, vlan1
3.3. 経路表の表示
経路表には、実際にパケット転送で使用されるルート情報のみが登録されているIP転送表(FIB)とすべてのルート情報が登録されているIP経路表(RIB)の2つがあります。
VLANインターフェースルート情報とスタティックルート情報は、すべてIP経路表に登録されます。そして、その中から実際にパケット転送処理で使用されるルート情報のみがIP転送表に登録されます。
IP転送表とIP経路表を表示するには、 show ip/ipv6 route コマンドを使用します。
経路表では、VLANインターフェースルート情報とスタティックルート情報は以下のように表示されます。
タイプ | 表示 |
---|---|
VLANインターフェースルート情報 |
C - connected |
スタティックルート情報 |
S - static |
show ip/ipv6 routeでオプションを指定しない場合、IP転送表が表示されます。
show ip/ipv6 routeでdatabaseオプションを指定することでIP経路表を表示することができます。
また、その他のオプションを指定することでサマリー情報や特定の経路の情報のみを表示することもできます。
オプション | 説明 |
---|---|
IPアドレス |
指定したIPアドレス宛にパケットを転送するとき使用されるルート情報を表示する。 |
IPアドレスとプレフィックス |
指定した情報と一致するルート情報を表示する。 |
database |
設定されている全てのルート情報(IP経路表)を表示する。 |
summary |
IP経路表のサマリー情報を表示する |
show ip route コマンドの詳しい使用方法については、コマンドリファレンスを参照してください。
3.4. ルート情報の優先度(管理距離)
ルート情報には、Administrative Distanceと一般的に呼ばれる優先度が存在します。
これは、VLANインターフェースルート情報とスタティックルート情報で同じ宛先へのルート情報が登録されたとき、どちらを優先するか決めるために使用されます。
ルート情報の優先度は、スタティックルーティングに限らずダイナミックルーティングも含めて適用することができます。
スタティックルーティングのルート情報の優先度は、 ip route コマンド末尾のオプションにより1~255の範囲で指定することができます。
小さい値のほうが優先度が高くなり、初期状態では以下の優先度となります。
タイプ | 優先度の初期値 | 優先度の変更方法 |
---|---|---|
VLANインターフェースルート情報 |
なし(他のどのルート情報よりも優先) |
設定変更不可。 |
スタティックルート情報 |
1 |
ip/ipv6 route コマンド末尾のオプションにより1~255の範囲で指定可能。 |
3.5. ルーティング機能の有効化
ip/ipv6 forwarding コマンドでルーティング機能の有効/無効を切り替えることができます。
初期状態では、IPv4, IPv6ともにルーティング機能は無効となっています。
4. 関連コマンド
関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。
-
関連コマンド一覧
機能種別 | 操作項目 | 操作コマンド |
---|---|---|
ルート情報の設定 |
スタティックルート情報の設定 |
ip route / ipv6 route |
スタティックルート情報の表示 |
show ip route / show ipv6 route |
|
ルート情報の表示 |
show ip route / show ipv6 route |
|
ルーティング機能の設定 |
ルーティング機能の設定 |
ip forwarding / ipv6 forwarding |
ルーティング機能の状態表示 |
show ip forwarding / show ipv6 forwarding |
5. 注意事項
特になし
6. 関連文書
特になし